「生きる」を考える

訳もなく生まれたから、その訳を考えるしかない。

「良く見られたい病」

何でも病にすることができる時代。 病名をつけてもらえれば、何か人に広く認められたものとして札付きの自分に安堵する。 精神疾患というものがあるらしい。実際、精神医学において病名は存在している。 けれど、精神が病にかかるのだとすると、一体精神のど…

枕元に立つ暗い陰

春夏秋冬が目の前を通り過ぎて、気づけば私が吹き消すための蝋燭がひょっこり一本増えている。誰の仕業か。アンチエイジングを謳い続ける若返り天国の世の中では、私の蝋燭の一本は誰かから見れば不幸への一歩になるのだろうか。アラウンドなんとかで括ると…

なぜ生きていかなければいけないのか?

両親が子作りをして人間が生まれました。それが私です。両親はきっと、こんな子供が産まれるなんて知らなかったことでしょう。けれどそれは私も同じこと。私だって、こんな人間に生まれるなんて知らなかった。気づいたらもう生まれていて、生きることが決め…

美しい花がある、花の美しさというものはない

美人とは何か。それは容姿が整っているということだけではない。容姿が整っておりかつ多くの人に「美しい」と思わせる何かを秘めている人のことだ。 遺伝子には当然ながら個体差がある。人それぞれの容姿にも違いがある。肌質や髪質の違い、骨格の違い、目の…

美人という特権

美人を見かけると、つい見てしまう。 その子供のように純粋な瞳の輝きに、彼女の汚れのない美しい心を期待する。 漆黒のダイヤを思わせる艶やかな髪。引き寄せられるような豊満で血色の良い唇。 純白の絹のようにきめ細かい瑞々しい肌や色香漂う艶かしい肢体…

飽和した世界の憂鬱

「これは何?」 誰かが言った。それが何か、知る者は誰1人としていなかった。未だかつて誰も知り得ない真実の果実の味はどんなものだろう。彼はそれを見つめながら、ただ1人想像の翼を広げていた。そしてその翼は彼に空へ飛び立つ力を与え、果実の味は全ての…

私が消える日常

何かに集中している時、その時自分はどうなっているのだろう。 私がテレビを見ている時、私は光る箱の中の世界に溶け込む。 そこに自分はいない。あるのは、触れることのない色と世界と人。 けれど、やはり気づけば私はそこにいる。 この「気づけば」という…

半年ぶりの

半年ぶりにブログを更新する。癇癪を起こしそうになるほどの暑さは過ぎて、身を丸くするほどの寒さが少し落ち着いてきた。懲りもせず、僕は書いている。過去記事を読むと、半年前の自分は色々と精神的に参っていたんじゃないかと思える。でも時折、妙に理想…

半年ぶりの

半年ぶりにブログを更新する。癇癪を起こしそうになるほどの暑さは過ぎて、身を丸くするほどの寒さが少し落ち着いてきた。懲りもせず、僕は書いている。過去記事を読むと、半年前の自分は色々と精神的に参っていたんじゃないかと思える。でも時折、妙に理想…

将来の夢は

子供の頃何になりたかったのか。今でもはっきりと思い出せるのはいくつかのことだけ。 小説家になりたい。そう思ったことがあって、気づけば「将来の夢は」の欄には小説家と書かれるのが普通になっていった。 それでも一度たりとも本気で小説家になれるだな…

本能が怖い

どれだけ一人で生きていくと決めてみても、結局人に触れたいと強く思う気持ちが怖い。 誰かを求めて自分の一部にしたいと思う自分の中の支配者の気持ちが怖い。 強く強く求めてしまう自分の本能が怖い。 終わりの見えない本能が怖い。 強く強く求め続けて、…

自分の居場所なんて無い

自分の本当の居場所をいつもどこか探している。 僕は日本人。日本人として生まれて日本でしか暮らしたことがない。だから海外で生活したことのある人の話を聞くと、何となく自分のいる場所より良いものに思えて、自分の本当にいるべき場所はもっと別にあるん…

消えてしまいそう

いついかなる時も、気を抜くと消えてしまいそうな自分を堰き止めている。 生活に慣れていくと、気持ちも安定してくる気がする。そうして何となく同じようなどこか違うような毎日が続いて、次第に自分の抱えていた思いや感情など、全て一つの直線になって落ち…

「愛」は世界を救わない

愛を歌った歌や物語は数多くあって、そこではいつも最終的に愛が世界を救うという結末になって幕を閉じることになる。 そういう夢物語を聞くと、心のどこかで「愛が世界を救うのなら、早く私の世界を救ってくれよ」なんて、揚げ足を取りたくなる。 確かに、…

虚無に堕ちろ

落ちる。堕ちていく。そういった急激な心許なさを覚えると、いつまでもそのことが頭から離れない。お前の代わりなどいくらでもいる。凡庸な人間。それどころか少し気を抜けば、凡庸より劣った人間。普通にすらなれない人間。そう誰かに言われている気がして…

決して忘れてはならないこと

日々をなんとなく過ごしていると見過ごされる多くの事の中に。決して忘れてはならないようなことが混じっているというのは、よくあることだと思う。 多くの人がその日その日を生きることで精一杯で、少し気を抜いてしまえばどこか崩れ落ちそうになっているこ…

感情の吐露がブームの時代

最近の歌の歌詞は非常に直接的だ。 そして感情的だ。いわゆるエモいと言われるもので、そういった描写が増えたのはここ最近に始まったことでもないと思う。 そもそも万葉集だとか、あの辺りの時代から色恋沙汰へのあれこれの情や何かと感傷的になる気性は日…

快感にはほど遠い幸せ

幸せとはなんだろうか。禅師に言わせればそんなものはない。けれど、ある意味ではある。 私たちの使う言葉の意味の中では。 しかし錯覚かもしれない。快感は幸せに似ているけれど、快感と幸せの違いをはっきりと自覚できているだろうか。 快感を産むのは、性…

分別を極めると寂しい人になる

「分別をつけなさない」 そういう事を、一度も言われずに生きてきた人がいれば、それはとても幸運な事だと思う。 なぜなら、この世界は分別に満ち溢れ過ぎているし、そんな場所に長くいれば普通は誰でも分別というものを意識せずにはいられないからだ。 分別…

直感とそのさらに奥深く

人の顔を見て、直感的に何か嫌なものを感じることがある。あるいは良いものを感じることがある。 それが何を意味しているのか、その意味の真意はよくわからない。例えばそれが心理学で言うところの「他者は自己の鏡」であるとするなら、私は彼彼女の嫌な部分…

人生は壮大な暇つぶし

日々の仕事や生活に追われて、週末どこへ行こうか何をしようかと考えておきながら、いざ週末を迎えると何をしたいのかわからなくなる。 あれ、もしかするとしなくてはならないことなど何もないのではないだろうか。 暇。退屈。という言葉が頭の中をぐるぐる…

僕はいつかすごい人になれると思っていた

子供時代の写真を見ていると、今よりも賢そうな少年が、希望を目に湛えたままこちらを真っ直ぐと見つめている。 思えば少年時代の私は、不勉強であったが、漠然と自分もいつか凄い人になれると思っていた。 私にとっての凄い人は、最初は父親や兄だった。四…

幻想的世界

パズルのピースをいくらか並べ変えても、ピースが取り替えられたのに気づかないようなものが幻想なら、現実なんてものは初めからそうだったのかもしれない。 幻想的な世界が満たすのは、その人の願望か、それがなんであれ本人には為す術などない。辺りに霧が…

幸福の罠

幸せを求め、苦しみを遠ざけたいという思いは、誰でも同じくして持っているものだということは事実であると思う。その事実に立って考えれば、自分を嫌う人ですら、同じ思いを持つ人として、多少なりとも尊重すべき点はあり、同情すべき点はあり、決して彼ら…

私は絶望を知らない

絶望した。どん底に落ちた。 そういう気分に害された事は何度もあるけれど、ふと周りを見渡してみると、もしかすると自分のこれは絶望に凡そ足りていないんじゃないかと思えてくることがある。 そもそも絶望とは、どんな時にその言葉を思い浮かべるだろう。 …

人間の全て

人間の本質なんてものについて、どれだけの人がどれだけのことを言ってきたかは知らない。 けれど、そのほとんどが人間とは鼠よりも賢くハエよりは優れているといったものであって、そういう人はまさか自分の中にあなたが最も毛嫌いするあの生き物たちの潮流…

図書館の風景

通っている区の図書館では、毎度読みきれない本を返して、小説コーナーと奥まった方の厳しい類の本が集まる一角へといそいそと足を運ぶだけだ。ここ最近は冷房設備のない館内は、ジメジメとした空気と生暖かさで額に汗が滲んでくることが、却って発汗を急が…

問題があるような気がする問題

インターネットやメディアを通した世界に慣れてくると、普通のコミュニケーションで得られること以上の情報が次々と飛び込んでくる。ネット記事やブログなんかもそうで、SNSはその最たるもの。テレビや新聞なんかもだし、もちろんドラマや映画だって、小説だ…

死ぬのにもってこいの日

もしそんな日があれば、実行してやろうと密かに計画を立てているけれど、一向にその兆候は現れない。足りないのは時間か、準備か、それとも環境か、考えてみても、その時は一向に訪れる気配がない。不眠症で余った時間を、言葉の吐き出しに使う人間とは一体…

何もかも馬鹿らしいと感じた時

何もかも馬鹿らしいと思うことなど、幾度もありすぎたせいで、もはやそうではないことの方が少ない気すらする。それは社会に出ればより一層深まっていくように感じる。そもそも、何をどう馬鹿らしいと思っているのか、考えてみてもよくわからない。けれども…